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平成22年4月号
長年、狼が来るぞ!と脅かされて来た着工100万戸割れ、昨年一挙に78万戸へ急落しました。大手の木質建材企業の中には、新しい事業立地や販売市場を求めて海外へ進出する動きが起きています。80万戸前後のデフレ不況が続く日本市場ではメシが食えそうに無いので「日本がだめなら海外が有るさ」という海外脱出型か?或いは、日本国内・国外で蓄積してきた様々な高性能の木質建築材料のノウハウが、海外で活かし得るからでしょうか?
以下に、二社の大手木質建材企業が公表した海外進出内容に、私の見方も加味して、書き留めて見ました。
①ポプラ合板の阜新(ふしん)住林木業。住友林業が中国遼寧省阜新市(瀋陽の西方に位置する)に建設を進めていました合板会社『阜新住林木業有限公司』が昨年12月に操業を開始しました。住友林業の海外合板工場としてはインドネシアの子会社PT.クタイ.テインバー.インドネシア(KTI)に次いで2番目の工場だそうです。
計画では、ポプラ植林木を原料として普通合板(3×6、4×8)、フロア台板、LVLを製造し、人員230名で、月産5,300M3を見込む、『ポプラの新鋭合板工場』。主要な販売先は、中国国内の他、日本、東南アジアを予定。既に、構造用のJASを取得済で、水性ビニールウレタンでポプラ構造用合板の製造・販売を開始しています。
また阜新市彰武県に有る林地を借り受け、28㌶のポプラの試験植林も実施に入っているとの報道です。
中国ポプラは、山東省・江蘇省を中心として中国全土で1,5億M3もの膨大な蓄積量があると云われ、南京林業大学が、米国のイースタンコットンウッドとイタリアポプラとの交配に成功した事に始ります。文化大革命(1965~1975年)の下方政策で、農山村地方に放逐された数多くの青年達の手で、中国の広大な面積に植林されたもの。中国ポプラ植林の歴史は僅か40年程度ですが、今や
大きな国家的資源に育って居るのです。
②JKホールデイングスが、初の海外合板工場。ジャパン建材他のJKホールデイングス(JKHD)は昨年12月に、中国広西チワン族自治区南寧市(ベトナムと中国との国境に近い西南地区)で、ユーカリ合板の製造・販売を行う会社を合弁で設立したと発表。本年7月から合板製造・販売の事業を開始するそうで、出資比率はJKHDが30%。
中国でのユーカリ植林木は、全土で170万㌶も有るそうで、その半分は広東・広西・海南・雲南省
等の西南地区に集中しています。広西自治区のユーカリシェアーは全土の12%・蓄積量は約20万㌶と云われ、原料供給面での不安は全く無いそうです。広西自治区だけでもユーカリは190種類もあり、テリハユーカリという材種を主体に、既に多くの合板・木材加工会社が稼働中であり、巨大な林産物加工基地が南寧市に形成されつつ有ります。
③住友林業パーテイクルボード工場を、ベトナムLONG
AN(ロン・アン)省
に建設。住友林業は経済発展を続けるベトナムにグループ100%出資の子会社を設立し、高品質で価格競争力のあるパーテイクルボード(以下PB)の製造・販売事業を計画
。ベトナムに於ける家具製造産業は拡大を続けており、家具用の素材需要に応えるもので規模は年産25万M3・投資額約80億円で、現地の家具工場向けに2012年4月から商業生産を開始する予定。
想定される需要家は、世界一の家具製販企業の『イケア』や 日本のトップ家具メーカーの『ニトリ』など、どちらも家具生産の主力工場をベトナム国内に置いているのです。
住友林業はインドネシアで、PT.リンバ.パーテイクル.インドネシア(RPI社)とPT.クタイ.テインバー.インドネシア社(KTI社)という2PB工場を建設しPB事業を推進して来ています。これまでに蓄積した製造販売ノウハウ、及び品質向上に向けた開発技術を活かし、海外で3つ目のPB
工場をベトナム国で計画したもの。
ベトナムではゴムや果樹などの植林木や廃材を原材料として、高品質でコスト競争力のあるPBの製造と販売を企画しています。 ベトナムの労働者の賃金は、上昇著しい中国沿岸部の約3分の1と云われ、最新鋭設備での低コスト製品は、今後のベトナムでのPB市場価格に大きな影響を与えそうです。
御存知の様に、ベトナム戦争での米軍による北爆(1965年~1972年)で、北部の多くの山林が消滅しました。戦後は失業救済を兼ねて、国を挙げて様々な樹種の植林が為された結果、今日では成長した植林木を利用して、北部は合板、南部はPBやMDFなどの繊維版を主体としたベトナムの木材加工産業が急速に発展しつつ有ります。
④『文化大革命と北爆』という世界史上の大事件を経て、中国もベトナムも膨大な量の植林木が結果的に植栽出来ました。今や植林木は、国家的資源と成り木材加工産業に貢献しているのは、皮肉な巡り合わせと云うべきでしょう。
ポプラとユーカリの植林木の合板工場が中国へ2工場、ゴムなどの植林木や廃材を原料とするPB工場がベトナムへ1工場の進出です。日本からの木質建材事業の投資は、「原料や立地」の面でも大きく変化しているのです。
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